※本記事は2026年10月時点の情報です。制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
年末が近づくと、本業の会社から年末調整の書類が配られます。副業をしている会社員なら、こんな疑問が浮かぶのではないでしょうか。
- 副業の収入も、本業の年末調整に含めてもらうべき?
- アルバイト先でも年末調整をしてもらえるの?
- 年末調整が終わっていれば、確定申告はしなくていい?
結論から言うと、年末調整は「主たる給与」1か所でしか行われず、副業の収入は原則として自分で確定申告して精算します。副業が給与(アルバイト)か業務委託かで扱いが変わるため、まずは自分の副業がどちらに当たるかを確認しましょう。
この記事でわかること
- 年末調整の対象と、副業の収入が含まれない理由
- 副業の給与が「乙欄」で源泉徴収される仕組み
- 雇用型・業務委託型それぞれの精算方法
- 源泉徴収票の受け取り方と確定申告での使い方
- 2026年分(令和8年分)の基礎控除などの改正と年末調整での精算
確定申告の基本ルールは副業の確定申告(20万円ルール)の記事で詳しく解説しています。
年末調整とは?副業との関係をおさらい
年末調整は「給与の税金の答え合わせ」
会社は毎月の給与から所得税を天引き(源泉徴収)していますが、これはあくまで概算です。年末調整は、1年間に天引きした所得税と、本来納めるべき所得税との差額を精算する手続きです。国税庁によると、年末調整の対象は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行う日までに提出している一定の人です。
扶養控除等申告書は1か所にしか出せない
扶養控除等申告書は、同時に2か所以上の勤務先へ提出することはできません。そのため、本業とアルバイトを掛け持ちしている人は、通常は本業(主たる給与)の会社にだけ提出します。申告書を出した会社=年末調整をしてくれる会社です。
副業の収入は年末調整に含まれない
本業の会社が年末調整で計算するのは、その会社が支払った給与だけです。副業先の給与や業務委託の報酬を本業の会社に申告して、まとめて年末調整してもらうことはできません。副業分は、副業先からの書類や自分の帳簿をもとに確定申告で合算して精算するのが基本です。
| 収入の種類 | 年末調整 | 精算の方法 |
|---|---|---|
| 本業の給与(扶養控除等申告書を提出) | される | 本業の会社が年末調整 |
| 副業の給与(アルバイト・パート) | されない | 確定申告で合算 |
| 副業の業務委託報酬・販売収入 | 対象外 | 確定申告(事業所得・雑所得など) |
雇用型の副業(アルバイト・パート)の場合
副業先の給与は「乙欄」で源泉徴収される
扶養控除等申告書を提出していない勤務先の給与は、源泉徴収税額表の「乙欄」で所得税が天引きされます。本業で使われる「甲欄」と比べて、乙欄は扶養控除などを考慮しない分、天引き額が高めに設定されています。
| 項目 | 本業(甲欄) | 副業先(乙欄) |
|---|---|---|
| 扶養控除等申告書 | 提出する | 提出しない |
| 毎月の源泉徴収 | 扶養親族の数などを反映 | 高めの税率で天引き |
| 年末調整 | 行われる | 行われない |
| 年間の精算方法 | 年末調整 | 確定申告 |
乙欄だと税金を払いすぎていることも
乙欄の天引きは高めのため、副業の給与が少ない人は、確定申告をすると払いすぎた所得税が戻ってくる(還付される)ことがあります。反対に、本業と副業の給与を合算すると税率の区分が上がり、追加で納税になる人もいます。どちらになるかは、合算して計算してみないと分かりません。
副業の給与で確定申告が必要になる条件
国税庁のタックスアンサーNo.1900では、給与を2か所以上から受けている人について、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得金額との合計が20万円を超える場合に確定申告が必要としています。
ここで注意したいのは、副業の給与は「所得(収入−経費)」ではなく「収入金額」で判定する点です。月2万円のアルバイトでも、年間で24万円になれば20万円を超えます。
なお、給与の収入金額の合計から一定の所得控除を差し引いた額が150万円以下で、給与以外の所得が20万円以下の人は申告不要とされる例外もあります。判定に迷う場合は、国税庁 No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認しましょう。
業務委託型の副業(フリーランス案件・販売)の場合
そもそも年末調整の対象外
Webライター、デザイン、エンジニアなどの業務委託や、ハンドメイド・スキル販売の収入は給与ではないため、年末調整とは関係ありません。所得は収入から経費を差し引いた事業所得または雑所得として、自分で確定申告します。
給与以外の所得が20万円を超えたら確定申告
給与を1か所から受けていて年末調整を受けている会社員は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要です。こちらは「収入」ではなく「所得(収入−経費)」で判定します。経費の考え方は副業の経費の記事で解説しています。
報酬から源泉徴収されている場合は精算でお金が戻ることも
原稿料やデザイン料など一定の報酬は、支払う側が所得税を源泉徴収してから振り込むことがあります(原則として10.21%)。この天引き分は確定申告で精算するため、経費が多い人や所得が小さい人は還付になるケースもあります。報酬の明細や支払調書の金額は控えておきましょう。
20万円以下でも住民税の申告は必要
所得税の確定申告が不要な人でも、住民税には「20万円以下なら申告不要」というルールはありません。確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村で住民税の申告をしましょう。詳しくは副業の住民税の記事をご覧ください。
源泉徴収票の扱い方
副業先からも源泉徴収票をもらう
アルバイトなど給与の副業先からは、年末調整をしなくても源泉徴収票が交付されます。確定申告では、本業と副業のすべての源泉徴収票の金額を合算して申告します。届かない場合は、副業先の担当者に発行を依頼しましょう。年の途中で辞めた勤務先の分も必要です。
確定申告書への添付は不要、ただし保管を
現在は、確定申告書に源泉徴収票を添付・提示する必要はありません。ただし、支払金額や源泉徴収税額を入力するために必要なので、申告が終わっても保管しておきましょう。
本業の源泉徴収票で確認したいポイント
- 「支払金額」:本業の給与の年間収入
- 「源泉徴収税額」:年末調整後の所得税額
- 「所得控除の額の合計額」:社会保険料控除や生命保険料控除などの合計
- 摘要欄:前職の給与を合算しているかなどの記載
本業の年末調整で反映された控除は、確定申告でも同じ内容を入力します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、源泉徴収票の項目に沿って入力できます。
2026年分(令和8年分)の年末調整の変更点と副業への影響
基礎控除などの引上げは年末調整で精算
令和8年度税制改正により、2026年分(令和8年分)は基礎控除や給与所得控除の最低保障額などが見直されました。国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」では、今年の年末調整で注意すべき点として次の4つを挙げています。
- 基礎控除の引上げ
- 給与所得控除の最低保障額の引上げ
- 扶養親族等の所得要件の改正
- 年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例の創設
令和8年分の基礎控除等の改正は、2026年11月までに支払われる給与の源泉徴収には反映されず、改正前の税額表で計算されています。その差は2026年分の年末調整で精算される仕組みです。いわゆる「年収の壁」は、給与だけの人の場合、所得税がかからない給与年収のラインが178万円に引き上げられたとされています(財務省「令和8年度税制改正」)。
副業がある人は確定申告で反映される
ここで副業をしている人が押さえておきたいのは、年末調整で反映されるのは本業の給与分だけという点です。副業の給与や業務委託の所得がある人は、確定申告で全体を合算して計算し直すことで、改正後の基礎控除などが所得全体に対して適用されます。
基礎控除の額は、本人の合計所得金額によって変わります。副業で所得が増えると控除額の区分が変わる場合もあるため、最新の金額表は国税庁 No.1199「基礎控除」で確認してください。
扶養に入っている家族の副業にも注意
扶養親族等の所得要件も改正されています。配偶者や子どもがアルバイトなどで収入を得ている場合、扶養控除等申告書に書く見込み所得が変わることがあります。家族の収入見込みは、年末調整の書類を出す前に確認しておきましょう。
確定申告が必要なケース・したほうがいいケース
確定申告が必要な主なケース
- 本業とは別にアルバイト先から給与があり、年末調整されなかった給与の収入と他の所得の合計が20万円を超える
- 業務委託や販売などの所得(収入−経費)が年20万円を超える
- 本業の会社を年の途中で退職し、年末調整を受けていない
- 給与の年間収入が2,000万円を超える
申告したほうが得になることがあるケース
- 副業先の給与が乙欄で天引きされていて、払いすぎの可能性がある
- 業務委託の報酬から源泉徴収されている
- 医療費控除を受けたい(年末調整では受けられない)
- ふるさと納税を6自治体以上にした、またはワンストップ特例を申請していない
医療費控除やふるさと納税のために確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告する必要があります。また、確定申告をするとワンストップ特例は使えなくなるため、寄附金控除もあわせて申告しましょう。
確定申告の流れ(5ステップ)
- STEP1:本業・副業の源泉徴収票と、業務委託の報酬明細・経費の記録を集める
- STEP2:副業の所得区分(給与・事業所得・雑所得)を確認する
- STEP3:国税庁の確定申告書等作成コーナーで、源泉徴収票の内容と副業の収支を入力する
- STEP4:住民税の徴収方法を選ぶ(給与以外の所得は「自分で納付」を選択できる)
- STEP5:e-Taxで提出し、納付または還付を確認する
2026年分の確定申告期間は、原則として2027年2月16日から3月15日までです。還付を受けるための申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。
注意
住民税の「自分で納付(普通徴収)」を選べるのは、原則として給与以外の所得の部分です。副業がアルバイトなど給与の場合は、本業の給与と合算して特別徴収になるのが一般的で、扱いは自治体によって異なります。お住まいの市区町村に確認しましょう。会社に知られる仕組みは会社にバレない方法の記事で解説しています。
副業がある会社員の年末〜確定申告までのスケジュール
時期ごとにやることを整理
年末調整から確定申告までは、やることが時期ごとに分かれています。慌てないよう、全体の流れをつかんでおきましょう。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 10〜11月 | 本業の会社から年末調整の書類を受け取り、扶養控除等申告書や保険料控除の申告書を提出 |
| 12月〜翌1月 | 本業の会社が年末調整を実施。本業・副業先から源泉徴収票を受け取る |
| 1〜2月 | 業務委託の売上・経費を集計し、報酬の明細や支払調書を整理 |
| 2月中旬〜3月15日 | 確定申告書を作成・提出し、納付が必要なら期限までに納める |
| 6月ごろ〜 | 確定申告の内容をもとに計算された住民税の通知・徴収が始まる |
年末調整の前にやっておきたいチェックリスト
- 扶養控除等申告書を出す勤務先が1か所になっているか確認した
- 副業先の給与明細で、乙欄で天引きされているか確認した
- 配偶者や扶養親族の、今年の収入見込みを確認した
- 生命保険料・地震保険料・iDeCoなどの控除証明書をそろえた
- 業務委託の請求書・入金記録・経費の領収書を月ごとに整理している
副業の帳簿付けは、年末にまとめて行うより毎月少しずつ進める方が、確定申告の負担がぐっと軽くなります。会計ソフトや記帳の工夫はフリーランスの節税の記事も参考にしてください。
主たる給与はどちらにするべき?
本業と副業の両方が給与の場合、扶養控除等申告書をどちらに出すかは本人が選びます。一般的には、給与の多い方や1年を通じて勤める方を主たる給与にします。副業を本業の会社に伝えていない人が、本業以外に申告書を出すと、本業の給与が乙欄で天引きされることになり、不自然に見えることもあるため注意しましょう。
副業の年末調整でよくある質問
Q1. 副業のアルバイト先で年末調整をしてもらうことはできますか?
副業先が年末調整を行うのは、その勤務先に扶養控除等申告書を提出している場合です。申告書は1か所にしか出せないため、本業の会社に提出しているなら副業先では年末調整されません。副業先の給与の方が多いなど事情がある場合でも、どちらに提出するかは1か所に決める必要があります。
Q2. 本業の年末調整の書類に副業の収入を書くべきですか?
本業の会社が年末調整で精算するのは、その会社の給与だけです。副業の収入を本業の年末調整に含めて精算してもらうことはできません。ただし、配偶者控除などの申告書では、本人の合計所得金額の見積額を書く欄があります。副業の所得もこの見積額に含まれるので、該当する人は記入内容を確認しましょう。
Q3. 年末調整で戻ってきたお金がある場合も確定申告は必要ですか?
年末調整で還付があったかどうかと、確定申告が必要かどうかは別の話です。副業の給与や所得が条件に当てはまれば、確定申告が必要です。確定申告では年末調整後の源泉徴収税額も入力するため、二重に税金を払うことはありません。
Q4. 副業が業務委託で、所得が20万円以下なら何もしなくていいですか?
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。また、医療費控除などで確定申告をする場合は、副業の所得も含めて申告します。収入と経費の記録は、申告の有無にかかわらず残しておきましょう。
Q5. 副業で年末調整や確定申告をすると会社にバレますか?
年末調整の書類から副業が直接分かるわけではありません。会社が気づくきっかけとして多いのは住民税の金額です。副業の種類によって対策できる範囲が違うため、副業の住民税の記事で仕組みを確認しておきましょう。
Q6. 副業で開業届を出している場合、年末調整は変わりますか?
開業届を出しても、本業の給与の年末調整はこれまでどおり本業の会社で行われます。副業の事業所得は確定申告で申告します。青色申告をする場合は、青色申告特別控除などのメリットもあります。副業で開業届を出すべきかの記事も参考にしてください。
まとめ:副業分は年末調整ではなく確定申告で精算
- 年末調整は扶養控除等申告書を出した主たる給与の1か所だけで行われる
- 副業の給与は乙欄で源泉徴収され、年末調整されない
- 年末調整されなかった給与の収入と他の所得の合計が20万円超なら確定申告が必要
- 業務委託の副業は年末調整の対象外。所得20万円超なら確定申告、20万円以下でも住民税の申告は必要
- 2026年分は基礎控除などの改正を年末調整で精算。副業がある人は確定申告で全体に反映される
- 源泉徴収票は本業・副業の両方を保管し、確定申告で合算する
副業の税金は、年末調整と確定申告の役割分担を理解すれば怖くありません。業務委託の売上が増えてきたら、インボイス登録の要否もあわせて確認しておきましょう。
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