※本記事は2026年10月時点の情報です。制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
本業でマーケティングに携わっていると、「この経験を社外でも活かせないか」と考える場面があるはずです。一方で、次のような不安から一歩を踏み出せない人も少なくありません。
- 広告運用やSEOなど、どの領域なら副業として案件になるのかわからない
- 本業の守秘義務や競業に引っかからないか心配
- 実績を見せたいけれど、本業の数字を出してよいのか判断できない
結論から言うと、マーケターの副業は「本業で培った領域のうち、社外に持ち出しても問題ない“スキルと型”」を切り出せば十分に成立します。案件の種類と求められる経験を整理し、就業規則とNDAの範囲内で成果の示し方を工夫することが、継続案件につなげる近道です。
この記事でわかること
- マーケター向け副業案件の主な種類(広告運用・SEO・GA4・CRM/MA・戦略支援)
- 案件ごとに求められる経験と、未経験領域との付き合い方
- エージェント・マッチングサービス・人脈それぞれの案件の探し方
- 単価の考え方と、本業の守秘義務・競業への配慮
- NDAを守りながら成果を示すポートフォリオの作り方
副業そのものの始め方を先に押さえたい方は、副業の始め方もあわせてご覧ください。
マーケターの副業が成り立ちやすい理由
マーケティング職の副業は、他の職種と比べて「企業側のニーズ」と「働き方の相性」の両面で成立しやすい特徴があります。
企業側に「専任を置けない」ニーズがある
中小企業やスタートアップでは、Web広告やアクセス解析を担当する専任者を正社員で採用するほどの業務量・予算がないケースがよくあります。「週に数時間だけ見てほしい」「立ち上げだけ手伝ってほしい」というニーズは、週1日以下の稼働を前提にした副業人材と相性が良いのです。
成果物がオンラインで完結しやすい
広告アカウントの運用、GA4のレポート作成、SEOの改善提案などは、管理画面とオンライン会議で完結することが多い業務です。平日夜や土日に作業時間を確保できれば、本業と並行しやすい点もメリットです。時間の確保に不安がある方は本業との両立・時間術も参考にしてください。
本業経験そのものが「実績」になる
マーケターの場合、「どの媒体で、どの規模の予算を、どういう目的で扱ってきたか」という経験自体が評価材料になります。ゼロから資格や作品を用意しなくても、経験の棚卸しから始められるのは大きな強みです。
マーケター副業の主な案件の種類
ひと口に「マーケターの副業」と言っても、案件の中身は大きく異なります。代表的な5つの領域を整理しました。
| 領域 | 主な業務内容 | 求められやすい経験 | 稼働イメージ |
|---|---|---|---|
| 広告運用 | Google広告・Meta広告などの設定、入札・クリエイティブ改善、月次レポート | 媒体の運用経験、予算管理、CPA等の指標改善 | 週数時間〜、継続型が多い |
| SEO | キーワード設計、サイト内部改善の提案、記事構成の作成・ディレクション | 検索流入の改善経験、コンテンツ制作の進行 | 月単位の継続型が中心 |
| アクセス解析/GA4 | GA4・GTMの設定、イベント設計、ダッシュボード作成、分析レポート | 計測設計、データの読み解き、改善提案 | 初期設定はスポット、分析は継続型 |
| CRM・MA | メール配信シナリオ設計、MAツールの設定、顧客セグメント設計 | MA/CRMツールの実務、LTV視点の施策 | 導入時のプロジェクト型が多い |
| 戦略支援 | マーケティング戦略立案、施策の優先順位付け、社内チームへの助言 | 事業責任者・マネージャー経験、複数施策の統括 | 月数回の定例ミーティング型 |
広告運用
副業案件の中でも比較的見つけやすいのが広告運用です。媒体の管理画面操作だけでなく、「目標とする指標を何に置くか」「予算をどう配分するか」を説明できると評価されます。本業で大きな予算を扱っていた人ほど、小規模アカウントでは打ち手の考え方を変える必要がある点にも注意しましょう。
SEO
SEOは成果が出るまでに時間がかかるため、月単位の継続契約になりやすい領域です。キーワード調査や構成案作成に加え、記事制作の進行管理まで任されることもあります。ライティングと組み合わせたい方はWebライター副業の記事も参考になります。
アクセス解析/GA4
GA4への移行以降、「計測は入っているが正しく使えていない」という企業は少なくありません。イベント設計やコンバージョン設定、Looker Studioなどでの可視化は、スポットで依頼されやすい業務です。初期設定を担当した後、月次の分析レポートで継続につなげる流れも作りやすいでしょう。
CRM・MA
メール配信やMAツールの設計は、ツール固有の知識が求められる分、経験者が限られる領域です。導入・設定のプロジェクトとして期間を区切って依頼されるケースが多く、本業で使っているツールの経験がそのまま活きます。
戦略支援
事業全体を見たうえで施策の優先順位を決める「戦略支援」は、マネージャー以上の経験が求められやすい一方、実作業が少なく時間あたりの価値を出しやすい案件です。経験を短時間で提供したい場合は、スポットコンサル副業という選択肢もあります。
案件で求められる経験と自己診断チェックリスト
企業が副業マーケターに期待するのは「教えなくても動ける即戦力」です。応募前に、自分の経験を次の観点で棚卸ししておきましょう。
応募前の自己診断チェックリスト
- 担当してきた施策を「目的・手段・結果」の3点で説明できる
- 扱った媒体・ツール名を具体的に挙げられる(例:Google広告、GA4、MAツール名など)
- 予算規模や期間など、業務の規模感を数字の範囲で伝えられる
- 自分一人で完結できる業務と、チームで動いていた業務を区別できる
- 週あたりに確保できる稼働時間と、対応できる曜日・時間帯を決めている
- 本業の就業規則で副業の可否・申請要否を確認済みである
経験が浅い領域は「隣接領域」から広げる
たとえば広告運用の経験がある人は、広告の成果を測るためにGA4の知識も持っていることが多いはずです。いきなり未経験の領域で応募するより、経験のある領域を軸にして隣接するスキルを少しずつ足していく方が、提案内容にも説得力が出ます。
「実務の再現性」を言語化する
副業では、本業のように社内の仕組みやチームの支えがありません。「なぜその施策を選び、どう検証したか」というプロセスを説明できれば、環境が変わっても成果を再現できる人材だと伝わります。
マーケター副業案件の探し方
案件の探し方は大きく「エージェント」「マッチングサービス」「人脈」の3つに分けられます。それぞれの特徴を比較しておきましょう。
| 探し方 | 代表的なサービス例 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| エージェント型 | ITプロパートナーズ、HiPro Direct、lotsfulなど | 条件交渉や契約まわりのサポートを受けやすい | 面談や稼働条件のすり合わせに時間がかかることがある |
| マッチング型 | Workship、複業クラウド、YOUTRUSTなど | 企業と直接やりとりでき、案件の幅が広い | 自分で条件交渉・契約確認を行う必要がある |
| スポット相談型 | ビザスク | 1時間単位で知見を提供でき、まずは試しやすい | 継続的な実務案件とは性質が異なる |
| 人脈・紹介 | 元同僚、取引先、SNSなど | 信頼関係があり、条件面で融通が利きやすい | 関係性ゆえに契約書を省略しがちになる |
※サービスの対象職種や手数料、案件数などは時期によって変わるため、登録前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
エージェントを使う
エージェント型は、担当者が案件を紹介し、条件のすり合わせを支援してくれる形式です。週1〜3日など稼働条件が明確な案件が多く、初めての業務委託でも進めやすいのが特徴です。主なサービスの違いは副業エージェントおすすめで整理しています。たとえばITプロパートナーズはIT・Web領域の週1〜3日案件を扱うエージェントです。
マッチングサービスを使う
マッチング型は、プロフィールを登録して企業から声がかかるのを待つ、もしくは自分から応募する形式です。Workshipや複業クラウドのように副業・複業人材向けのサービスもあります。エージェントとの違いはエージェントとマッチングの違いで詳しく解説しています。
人脈から案件を得る
マーケターの副業では、元同僚や取引先からの紹介で案件が始まることも珍しくありません。日頃からSNSやブログで知見を発信しておくと、「この分野ならあの人」と思い出してもらいやすくなります。人脈づくりの考え方は人脈の作り方も参考にしてください。ただし紹介案件ほど契約条件が曖昧になりやすいため、業務範囲・報酬・支払日は必ず書面で取り決めましょう。
単価の目安と報酬の考え方
副業の単価は、領域・経験年数・稼働時間・契約形態によって大きく変わるため、「マーケターの副業はいくら」と一律に言うことはできません。ここでは金額の考え方を整理します。
報酬の主な形態
| 報酬形態 | 内容 | 向いている案件 |
|---|---|---|
| 月額固定 | 毎月一定額で業務範囲を決めて契約 | 広告運用、SEOの継続支援、定例ミーティング型の戦略支援 |
| 時間単価 | 稼働時間に応じて報酬を計算 | 稼働量が月によって変動する案件 |
| 成果物単価 | 納品物ごとに報酬を設定 | GA4初期設定、レポートテンプレート作成、構成案作成など |
「時間単価」に換算して比較する
提示された金額が妥当かを判断するには、必ず時間単価に換算しましょう。例:月額10万円の契約で、ミーティングや資料作成を含めて実際に月20時間かかるなら、時間単価は5,000円です。同じ月額でも、想定外の修正対応やチャット対応が増えれば実質単価は下がります。契約前に「業務範囲」と「想定稼働時間」をすり合わせることが、単価を守る一番の方法です。
単価を上げるための考え方
- 作業代行ではなく「改善提案まで含めた支援」として価値を定義する
- 実績を蓄積し、領域を絞った専門性として打ち出す
- 継続案件では、成果や業務範囲の変化に合わせて条件の見直しを相談する
なお、副業で得た報酬は所得として扱われます。給与以外の所得が年20万円を超える場合の確定申告については副業の確定申告、20万円以下でも必要な住民税の申告については副業の住民税で解説しています。
本業の守秘義務・競業への配慮
マーケターの副業で最も気をつけたいのが、本業との利益相反です。マーケティング職は顧客データや戦略、広告の成果データなど機密性の高い情報に触れる機会が多いため、慎重な線引きが求められます。
就業規則で確認すべきポイント
厚生労働省のモデル就業規則では、副業・兼業について、労務提供上の支障がある場合、企業秘密が漏洩する場合、会社の名誉や信用を損なう場合、競業により企業の利益を害する場合には、会社が禁止・制限できる例が示されています。自社の就業規則でも、次の点を確認しましょう。
- 副業が許可制・届出制・原則自由のどれか
- 同業他社や取引先の業務を禁止する規定があるか
- 在職中に知り得た情報の取り扱いに関する規定
- 申請時に業務内容や副業先の記載が必要か
就業規則の読み方や会社への伝え方は副業禁止・就業規則の確認方法で詳しく解説しています。
競業になりやすいケース
次のようなケースは、本業の利益と衝突するおそれがあるため特に注意が必要です。
- 本業と同じ商材・同じ顧客層を狙う競合企業のマーケティングを支援する
- 本業のクライアント企業から、個人として直接仕事を受ける
- 本業の顧客リストや広告の成果データ、社内資料を副業で参照・流用する
- 本業で得た未公開の施策・戦略を、副業先への提案に転用する
判断に迷う場合は、自己判断で進めず、事前に会社へ相談するのが安全です。
「スキル」と「情報」を分けて考える
社外に持ち出してよいのは、マーケティングの考え方や分析の手法、ツールの使い方といった「スキル」です。本業の数値、顧客情報、未公開の戦略といった「情報」は持ち出せません。この線引きを自分の中で明確にしておくと、副業先での提案内容も整理しやすくなります。
成果の示し方:数字の扱い方とNDA
副業案件を獲得するには実績を示す必要がありますが、マーケターの実績は本業の機密と隣り合わせです。NDA(秘密保持契約)や就業規則を守りながら成果を伝える工夫を紹介します。
数字の見せ方の比較
| 見せ方 | 例 | 安全度の目安 |
|---|---|---|
| 社名・具体値をそのまま記載 | 「◯◯社の広告で月間CV数を◯件から◯件に」 | 許可がない限り避ける |
| 社名を伏せ、具体値を記載 | 「人材業界のBtoB企業で、CPAを◯円改善」 | 具体値が機密に当たらないか確認が必要 |
| 社名を伏せ、変化率で記載 | 「CPAを約◯割改善」 | 比較的使いやすいが、NDAの範囲は要確認 |
| プロセス中心に記載 | 「計測設計の見直し→指標の再定義→改善サイクル構築」 | 最も安全に使いやすい |
※表中の「◯」は伏せ字です。実際の記載可否は、本業の就業規則や各案件のNDAに従ってください。
NDAを結んだ案件の実績を使うときのルール
- 実績として公開してよいかは、契約前または納品時に確認しておく
- 「社名非公開・業界のみ」「数値は変化率のみ」など、公開範囲を具体的に合意する
- 管理画面のスクリーンショットは、許可がない限り使わない
- 口頭の面談で話す場合も、資料に残す場合と同じ基準で線を引く
ポートフォリオは「プロセス」で語る
具体的な数値を出せない場合でも、「課題の発見→仮説→施策→検証→次の打ち手」という流れを示せば、思考力と再現性は十分に伝わります。架空の事例を作るのではなく、公開済みの自分のブログやSNS運用など、自分に権利がある取り組みを素材にするのも一つの方法です。発信の場を持ちたい方はブログ副業も参考にしてください。
マーケター副業を始める5ステップ
最後に、副業を始めるまでの流れをステップで整理します。
ステップ1:就業規則を確認し、必要なら申請する
副業の可否と申請手続きを確認します。競業の制限についても、この段階で確認しておきましょう。
ステップ2:経験を棚卸しし、軸となる領域を決める
前述のチェックリストを使い、広告運用・SEO・GA4・CRM/MA・戦略支援のうち、最も自信をもって提供できる領域を1〜2つに絞ります。
ステップ3:プロフィールと実績資料を用意する
機密に配慮した書き方で、扱ってきた媒体・ツール、業務の規模感、プロセスを中心にまとめます。
ステップ4:エージェント・マッチングサービスに登録する
1つに絞らず、エージェント型とマッチング型を組み合わせると案件の比較がしやすくなります。
ステップ5:契約条件を書面で確認して稼働開始
業務範囲、報酬、支払時期、稼働時間、成果物の権利、秘密保持の範囲を確認します。なお、2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法により、発注事業者には取引条件の明示などが求められています。条件が曖昧なまま稼働を始めないようにしましょう。
よくある質問
Q. マーケティング経験は何年くらいあれば副業できますか?
年数の基準は案件によって異なり、一律の目安はありません。大切なのは年数よりも「一人で任されて成果を出した経験があるか」です。担当施策を目的・手段・結果で説明できるかを基準に考えましょう。
Q. 本業と同じ業界の企業を支援してもよいですか?
競合関係にある場合は、就業規則の競業禁止に触れるおそれがあります。同じ業界でも商材や顧客層が異なり、問題にならないケースもありますが、自己判断せず事前に会社へ確認するのが安全です。
Q. 実績として本業の数字を出せない場合はどうすればいいですか?
変化率やプロセス中心の見せ方に切り替えましょう。それでも不安な場合は、具体的な数値には触れず「どんな課題に、どう取り組んだか」を説明する形にします。面談では、守秘義務を守る姿勢そのものが信頼につながることも少なくありません。
Q. 副業の収入は確定申告が必要ですか?
給与を1か所から受け取り年末調整を受けている会社員の場合、給与以外の所得(収入から経費を引いた金額)が年20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は必要になるため、副業の確定申告で確認しておきましょう。
Q. 会社に副業がバレないようにできますか?
副業を隠す前提で進めるのはおすすめしません。就業規則に従って申請するのが基本です。住民税の仕組みなどについては会社にバレる仕組みで解説していますが、まずは規則の確認を優先しましょう。
まとめ
マーケターの副業は、本業で培ったスキルを社外の課題解決に活かせる、相性の良い働き方です。最後に要点を振り返ります。
- 案件は広告運用・SEO・GA4・CRM/MA・戦略支援の5領域が中心
- 応募前に経験を「目的・手段・結果」で棚卸ししておく
- 探し方はエージェント・マッチング・人脈を組み合わせる
- 単価は必ず時間単価に換算し、業務範囲を契約で明確にする
- 持ち出してよいのは「スキル」、本業の「情報」は持ち出さない
- 実績はNDAの範囲内で、変化率やプロセス中心に示す
次にやること
まずは就業規則を確認し、自分に合った案件探しの手段を比較してみましょう。
- 副業エージェントおすすめで登録先を比較する
- 副業の始め方で全体の流れを確認する
- 会社員におすすめの副業で他の選択肢も見ておく
