※本記事は2026年10月時点の情報です。制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
「うちの会社は副業禁止らしいけど、本当に何もできないの?」と悩んでいませんか。
- 就業規則に「副業禁止」と書いてあるけど、法律的に有効なのか知りたい
- こっそり副業してバレたら、懲戒解雇になるのではと不安
- 会社に副業を申請したいけど、どう書けば許可が出やすいのかわからない
結論から言うと、会社員の副業を一律に禁止する法律はなく、勤務時間外の過ごし方は原則として本人の自由です。ただし、会社は「本業に支障が出る」「秘密が漏れる」などの合理的な理由がある場合に限り、副業を禁止・制限できます。まずは自社の就業規則を正しく読み、必要なら正面から申請するのがいちばん安全な進め方です。
この記事でわかること
- 会社員・公務員それぞれの副業の法律上の位置づけ
- 会社が副業を禁止・制限できる4つのケース
- 就業規則の確認方法とチェックポイント
- 副業がもとで懲戒処分になるケース・ならないケースの考え方
- 雇用型副業での労働時間の通算ルール
- そのまま使える副業申請の例文テンプレートとチェックリスト
副業の全体像をまだつかめていない方は、先に副業の始め方ガイドもあわせてご覧ください。
副業禁止は法律上どう扱われる?会社員と公務員の違い
「副業禁止」という言葉はよく聞きますが、誰に対して、何を根拠に禁止されているのかは立場によってまったく違います。最初に、会社員と公務員の違いを整理しておきましょう。
会社員(民間企業の従業員)は原則自由
民間企業で働く会社員の副業を、法律で一律に禁止するルールはありません。労働契約で会社に約束しているのは「勤務時間中に働くこと」であり、勤務時間外の時間をどう使うかは、本来は労働者の自由と考えられています。
厚生労働省も「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)で、副業・兼業を原則認める方向性を示し、企業に対して副業の許容状況を公表することを推奨しています。同省が公開している「モデル就業規則」でも、副業・兼業は「できる」ことを前提にした条文になっています。
実際、パーソル総合研究所の調査(2025年8月調査・同年10月公表)では、副業を容認している企業は64.3%と過去最高になり、正社員の副業実施率は11.0%でした。東京商工リサーチの調査(2025年12月)でも、副業を容認する企業は56.4%と半数を超えています。「副業禁止」が当たり前だった時代からは、確実に変化しています。
公務員は法律で制限されている
一方、公務員は法律で副業が制限されています。国家公務員は国家公務員法第103条(私企業からの隔離)・第104条(他の事業又は事務の関与制限)、地方公務員は地方公務員法第38条(営利企業への従事等の制限)が根拠です。
公務員は、許可なく営利企業の役員になったり、報酬を得て事業や事務に従事したりすることが原則としてできません。ただし、一定の範囲での不動産賃貸や、許可を得たうえでの地域活動・講演などが認められる場合もあります。具体的な扱いは所属する組織の規程と人事担当部署で必ず確認してください。
| 立場 | 根拠 | 副業の扱い |
|---|---|---|
| 民間企業の会社員 | 労働契約・就業規則 | 原則自由。会社は合理的な理由がある場合のみ禁止・制限できる |
| 国家公務員 | 国家公務員法103条・104条 | 原則禁止。許可・承認を得た範囲でのみ可能 |
| 地方公務員 | 地方公務員法38条 | 原則禁止。任命権者の許可を得た範囲でのみ可能 |
この記事では主に民間企業の会社員を対象に解説します。公務員の方は、本記事の内容をそのまま当てはめず、所属先の規程を優先してください。
会社が副業を禁止・制限できる4つのケース(モデル就業規則70条)
会社員の副業が原則自由だとしても、会社が何も言えないわけではありません。厚生労働省のモデル就業規則(第14章 第70条(令和7年12月版)「副業・兼業」)では、労働者は勤務時間外に他の会社等の業務に従事できるとしたうえで、次の4つのケースでは会社が副業を禁止・制限できると定めています。
| ケース | 具体例(例) | 注意したいポイント |
|---|---|---|
| ①労務提供上の支障がある | 深夜まで副業をして本業で居眠り・遅刻が増える | 長時間労働・睡眠不足にならない働き方にする |
| ②企業秘密が漏洩する | 本業の顧客情報やノウハウを副業で使う | 本業で知った情報は副業に一切持ち込まない |
| ③会社の名誉や信用を損なう | 会社名を出して怪しい商材を売る、反社会的な仕事に関わる | 肩書きの使い方やSNSでの発信に注意 |
| ④競業により企業の利益を害する | 同業他社で同じ業務を請け負う、本業の顧客を副業で受注する | 同業・同じ顧客層の仕事は事前に相談が無難 |
「全面禁止」の規定はどう考えればいい?
就業規則に「一切の副業を禁止する」と書かれている会社もまだあります。ただ、これまでの裁判例では、勤務時間外の副業を全面的に禁止することは、上の4つのように会社の利益を害するおそれがある場合を除いて、合理性が認められにくいと考えられてきました。
とはいえ、「規定が無効かもしれないから無視していい」という話ではありません。規定の有効性は最終的に個別の事情で判断されますし、ルールを無視すれば職場での信頼を失います。全面禁止の会社でも、まずは上司や人事に相談し、4つのケースに当たらないことを説明するのが現実的です。
許可制・届出制の会社が多い
多くの会社では「全面禁止」ではなく、「事前に届け出る(届出制)」「会社の許可を得る(許可制)」という形をとっています。モデル就業規則でも、副業・兼業を行う場合はあらかじめ会社に所定の届出を行うこととされています。届出・許可の手続きを踏んでいれば、会社とのトラブルはぐっと起きにくくなります。
自社の就業規則を確認する方法とチェックポイント
「うちの会社は副業禁止らしい」という話が、実は噂や思い込みだったというケースは少なくありません。まずは一次情報である就業規則を自分の目で確認しましょう。
就業規則の見つけ方
労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場には就業規則の作成・届出義務があり、その内容を労働者に周知することが求められています。一般的には次のような場所で確認できます。
- 社内ポータル・イントラネットの「規程集」「人事制度」ページ
- 人事部・総務部への問い合わせ(閲覧を申し出る)
- 入社時に配布された冊子・PDF
- 事業場の掲示や備え付けのファイル
就業規則本体に書かれていなくても、「副業・兼業規程」「服務規律」「兼業許可規程」など別の規程に定められていることがあります。目次や関連規程の一覧もあわせて確認してください。
読むときのチェックポイント
- 副業は「禁止」「許可制」「届出制」「自由」のどれか
- 届出・許可が必要な場合、申請先(上司・人事)と書式はあるか
- 対象になる副業の範囲(雇用型のみか、業務委託・個人事業も含むか)
- 禁止・制限される条件(競業、時間、業種など)が書かれているか
- 違反した場合の懲戒規定はどうなっているか
- 秘密保持・情報管理・SNS利用に関するルール
「投資は副業に含むのか」「無報酬のボランティアはどうか」など、規則を読んでも判断に迷う場合は、自分で解釈せず人事に確認するのが安全です。確認したやり取りはメールなど記録に残る形にしておくと安心です。
副業がバレたら懲戒処分になる?懲戒の考え方
副業禁止の会社で無断で副業をしていた場合、どこまでの処分があり得るのでしょうか。ここでは、裁判例で示されてきた一般的な考え方を紹介します。個別の事案の判断は、弁護士や労働局などの専門窓口に相談してください。
懲戒が認められやすいケース
裁判例では、副業の内容や程度が本業に実際の悪影響を与えている場合に、懲戒処分が有効と判断される傾向があります。たとえば次のようなケースです。
- 副業の負担が大きく、本業の勤務に明らかな支障が出ていた
- 同業他社で働いたり、本業の顧客を奪ったりして会社の利益を害した
- 会社の機密情報を副業に利用した
- 勤務時間中に副業をしていた
- 会社の信用を損なう業種・内容の副業だった
よく知られた例として、毎晩長時間の夜間アルバイトを続けていた従業員の解雇が有効とされた「小川建設事件」があります。本業への影響が大きいと判断されたケースです。
懲戒が認められにくいケース
反対に、副業の時間や頻度が限られていて、本業への支障や会社の利益を害するおそれがない場合には、無許可であっても重い懲戒処分は認められにくい傾向にあります。年に数回程度のアルバイトを理由とした解雇が無効とされた「十和田運輸事件」がよく引き合いに出されます。
ただし、「処分が無効になる可能性がある」ことと「トラブルにならない」ことは別です。たとえ最終的に処分が無効になっても、争うには時間と労力がかかり、職場での信頼関係も傷つきます。無断で始めるより、ルールに沿って申請するほうが結果的にリスクは小さくなります。
| 観点 | 懲戒が認められやすい方向 | 懲戒が認められにくい方向 |
|---|---|---|
| 本業への影響 | 遅刻・欠勤・業務ミスが増えている | 本業の勤務に支障がない |
| 副業の時間・頻度 | 深夜・長時間・毎日 | 休日の短時間・不定期 |
| 業務内容 | 同業・競合、本業の顧客対象 | 本業と無関係の分野 |
| 情報の扱い | 本業の機密・顧客情報を利用 | 本業の情報を一切使っていない |
| 手続き | 虚偽申告、勤務時間中の副業 | 届出・許可を得ている |
会社に知られる仕組み(住民税の特別徴収など)については、副業が会社にバレる理由と対策で詳しく解説しています。ただし、本記事としては「隠す」より「正しく申請する」ことをおすすめします。
雇用型副業は要注意!労働時間の通算ルール
副業がアルバイトやパートなど「雇用契約」で働くタイプの場合、労働基準法第38条第1項により、本業と副業の労働時間は通算して扱われます。これが、雇用型副業を認めるのに慎重な会社が多い理由のひとつです。
通算の基本的な考え方
- 本業と副業の労働時間を合計して、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えるかを判断する
- 法定労働時間を超えた部分は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要になる
- 一般的には、後から雇用契約を結んだ会社が割増賃金を支払う考え方が基本
- 会社は副業先での労働時間を把握する必要があるため、自己申告を求められることが多い
たとえば(例)、本業で平日8時間働いたあと、別の会社で2時間アルバイトをすると、通算で10時間となり、2時間分が時間外労働として扱われます。会社側の手間や長時間労働のリスクがあるため、雇用型の副業は許可が出にくいことがあります。
厚生労働省のガイドラインでは、労務管理の負担を軽くする「管理モデル」という方法も紹介されています。なお、副業・兼業時の割増賃金の通算ルールは見直しが議論されてきましたが、2026年10月時点で法改正は成立しておらず、現行ルールが適用されます。最新の扱いは厚生労働省の公表資料で確認してください。
業務委託・個人事業なら通算の対象外
Webライティング、デザイン、コンサルティングなどを業務委託(請負・準委任)で受ける場合や、ネットショップなど自分で事業を行う場合は、労働基準法上の労働者ではないため労働時間の通算の対象になりません。会社にとって管理の負担が小さいため、雇用型よりも許可が出やすい傾向があります。
ただし、通算の対象外でも、長時間労働で体調を崩しては本末転倒です。会社によっては健康確保の観点から副業の時間を報告するよう求めることもあります。業務委託で探すなら副業エージェントおすすめ比較も参考にしてください。
そのまま使える副業申請の例文テンプレート
会社に所定の申請書式がある場合はそれを使います。書式がない場合や、申請書に添える説明文として、次のテンプレートを自社の状況に合わせて書き換えて使ってください。【 】の部分はすべてご自身の内容に置き換えてください。
例文①:業務委託(Webライティングなど)の場合
件名:副業(兼業)の許可申請について
【部署名】の【氏名】です。就業規則第【○】条に基づき、下記のとおり副業の許可を申請いたします。
- 副業の内容:Web記事の執筆(業務委託・個人として受注)
- 取引先:【クラウドソーシング等を通じた個人・法人】(当社と競合関係にある企業からは受注しません)
- 作業時間:平日夜【1〜2】時間程度、土日に合計【4】時間程度(勤務時間中は一切行いません)
- 期間:【2026年11月】から(継続予定)
- 目的:文章力・Webマーケティングの知識を高め、本業の【資料作成・情報発信】にも活かすため
当社の業務や機密情報を副業に使用することはなく、本業に支障が出ないよう時間管理を徹底いたします。状況に変更があった場合は速やかにご報告します。ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
例文②:アルバイト(雇用型)の場合
件名:兼業(アルバイト)の許可申請について
【部署名】の【氏名】です。下記のとおり兼業の許可を申請いたします。
- 勤務先:【株式会社○○(業種:○○)】
- 業務内容:【土日の店舗スタッフ】
- 勤務日時:【土曜日 10:00〜15:00】(月【4】回程度)
- 労働時間の申告:副業先での労働時間は毎月【○日】までに書面で報告いたします
- 目的:【家計の補助、接客スキルの向上】のため
本業の勤務・健康に影響が出ないよう十分に注意いたします。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
雇用型の場合は、前述の労働時間の通算に会社が対応できるよう、副業先の労働時間を報告する旨を明記しておくと話がスムーズです。
許可が出やすい副業申請のチェックリスト
申請の通りやすさは、書き方以上に「会社の懸念をどれだけ先回りして解消できているか」で決まります。提出前に次の項目を確認しましょう。
- 就業規則の該当条文(何条か)を確認し、申請書に記載した
- 副業の内容・取引先・期間を具体的に書いた
- 競合他社・本業の顧客とは取引しないことを明記した
- 作業時間帯と1週間あたりの目安時間を書いた
- 勤務時間中・会社の設備(PC・回線など)では副業をしないと書いた
- 本業の機密情報・ノウハウを使わないと明記した
- 会社名・肩書きを副業で使わないと決めている
- 本業へのメリット(スキル向上など)を一言添えた
- 変更があれば報告すると書いた
- 申請と回答の記録(メール・書面)を残す準備をした
申請のタイミングと伝え方のコツ
- 繁忙期や評価面談の直前は避け、落ち着いた時期に相談する
- いきなり書面を出すより、まず直属の上司に口頭で相談しておく
- 「副業を始めたい」ではなく「この条件で行いたい」と具体的に伝える
- 許可が出なかった場合は理由を聞き、条件を変えて再申請できるか確認する
副業禁止の会社でも問題になりにくい収入・活動
一般的に、会社の業務とは関係のない「資産運用」や「一時的な収入」は、副業として問題になりにくいと考えられています。ただし、何が「副業」に当たるかは会社の就業規則の定め方次第です。以下はあくまで一般論として読み、最終的には自社の規則を確認してください。
| 収入・活動 | 一般的な考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 株式・投資信託・NISA・iDeCo | 資産運用であり、労務の提供がないため問題になりにくい | インサイダー取引規制、自社株の売買ルールに注意 |
| 不用品の売却(フリマアプリ等) | 生活用品の売却であれば副業には当たりにくい | 仕入れて転売する場合は事業とみなされることがある |
| 不動産賃貸(相続した物件など) | 資産運用として認められる場合が多い | 規模が大きいと事業とみなされることがある |
| ポイ活・アンケート回答 | 少額で単発なら問題になりにくい | 継続的・組織的なものは規則を確認 |
| ブログ・アフィリエイト・動画投稿 | 会社によって扱いが分かれる | 収益が出るなら届出が必要か確認する |
副業として認められるかどうかとは別に、所得が出れば税金の申告が必要になる場合があります。給与以外の所得が年20万円を超えると原則として確定申告が必要で、20万円以下でも住民税の申告は必要です。詳しくは副業の確定申告ガイドと副業の住民税の解説をご覧ください。
副業禁止の会社に関するよくある質問
Q. 就業規則に副業の記載がない場合は自由にしていい?
規則に定めがなければ、原則として勤務時間外の副業は自由と考えられます。ただし、秘密保持や競業避止、職務専念などの別の規定に触れる可能性はあります。念のため、本業に関係する分野の副業なら上司や人事に一言相談しておくと安心です。
Q. 副業の申請を却下されたら、どうすればいい?
まずは却下の理由を確認しましょう。「同業だから」「時間が長すぎるから」など理由が明確なら、業務内容や時間を見直して再申請できる場合があります。理由の説明がなく納得できない場合は、社内の相談窓口や労働局の総合労働相談コーナーに相談する方法もあります。
Q. 無断で副業をしていたことに気づいたら、今からでも申請すべき?
早めに申請・報告するほうが、後で発覚するよりも印象は良く、リスクも小さくなります。内容が会社の禁止・制限事由に当たりそうな場合は、いったん副業を止めてから相談することも検討してください。
Q. 会社に知られずに副業をする方法はある?
住民税の納付方法を工夫するなど一定の対策はありますが、完全に知られない方法はありません。また、規則で届出が求められているのに隠すことは、それ自体がトラブルの原因になります。基本は正しく申請し、そのうえで税金の手続きも適切に行うことをおすすめします。
Q. 退職後に副業を本業にするのは問題ない?
退職後の活動は原則自由ですが、在職中に結んだ競業避止の誓約や秘密保持の義務が退職後も一定期間続く場合があります。独立を考えている方は、フリーランスの開業準備と退職手続きもあわせて確認してください。
まとめ:副業禁止の会社でも「確認→相談→申請」で道は開ける
- 会社員の副業を一律に禁止する法律はなく、勤務時間外は原則自由
- 公務員は国家公務員法・地方公務員法で副業が制限されている
- 会社が禁止・制限できるのは、労務提供上の支障・秘密漏洩・名誉信用の毀損・競業の4ケース(モデル就業規則70条)
- まずは就業規則と関連規程を自分で確認する
- 雇用型の副業は労働時間が通算されるため、業務委託型のほうが許可を得やすい傾向
- 申請は具体的な内容・時間・競業しない旨を明記し、記録を残す
- 投資などは問題になりにくいが、最終的には自社の規則次第
副業禁止かどうかを確認できたら、次は実際に案件を探すステップです。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的な判断は、勤務先の人事部門や弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
